理系ブロガーSの挑戦

化学系博士卒ブロガーの経験と考えをまとめたブログ

分野紹介(1)

今回は有機化学という分野について

簡単に紹介したいと思います。

 

有機化学とは

主に炭素Cと水素Hから成る

有機化合物」を扱う分野です。

有機化合物の身近な例としては、

色素や薬など様々なものがあります。

基本的には低分子という小さな分子を

扱う分野で、プラスチックのように

大きな分子(高分子)を扱う分野を

高分子化学といいます。

有機化学は化学系の中では比較的

メジャーな分野に位置付けられます。

 

有機化学の小分類

有機化学の研究はいくつかの観点から

以下のような小分類があります。

(自分の専門以外は詳しくないので

あくまで概要で、分類も一例です。)

 

・反応開発

反応とは、複数の原料を混ぜて新しい

物質(生成物)を合成することです。

反応開発は、新しい反応を見つけて、

反応条件を検討・最適化することで、

主に収率(生成物への変換効率)や

生成物の立体的な選択性を

向上させるという分野になります。

有機反応は主に、電子が多い部分と

少ない部分が引き付け合う電子効果と、

立体的なかさ高さによって反発する

立体効果の2つの影響が大きいです。

 

・構造有機化学

収率等に着目した反応だけでなく

生成物の構造や物性にフォーカス

した分野です。

X線結晶構造解析によって、

生成物の構造を直接観察したり、

生成物の光学物性などを測定して

理解・解釈する分野になります。

ベンゼンのように単結合と二重結合が

交互に連結した「共役系」と呼ばれる

分子を多く扱います。

 

・全合成

最小単位の原料から、様々な有機反応を

多段階に駆使することで、複雑な構造の

生理活性物質を合成する分野です。

 

有機化学者でも、上記のどの分野を

専門に研究していたかで、

考え方や着眼点が変わってきます。

 

有機化学は分子を合成する基礎技術的な

分野であるため、他の化学分野にも広く

応用されます。

 

研究内容としては、「合成➡解析」を

繰り返す地道な分野ではありますが、

やった分だけ着実に進められ、論文も

比較的よく出せる分野だと思います。

 

反応式を書いて反応を考察できるため、

抽象的で難しい理論や数式を主に扱う

分野に比べると、具体的でイメージ

しやすい気がします。

一方で、実際に手を動かして実験する

分野なので、やり方や人、経験による

ブレも注意する必要があり、複雑な

反応が起こって反応系が汚くなるなど

実験化学ならではの難しさもあります。

 

今回は以上になります。

たまには学問的な内容もいいかなと

思ったので、まとめてみました。