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学振の申請書の内容と書き方について、元学振研究員が解説!

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日本学術振興会(学振)特別研究員に採用されるためには、申請書を書く必要があります。

学振の申請書は分量が多く、書き方が分からないという方も多いと思います。

そこでこの記事では、学振(DC1)に採用された私の申請書の書き方を紹介します。

❇︎本記事では、2016年度採用の申請書を取り上げています。

令和4(2022)年度から申請書のフォーマットが少し変更になりましたが、共通な内容も多くあるため、参考にしていただければ幸いです(変更点についても記載しました)。

 

現在までの研究状況

基本的な流れは以下になります。

  1. 研究テーマの背景を、一般的に分かりやすく記述する。
  2. 未解決な問題や、報告例がなく実現したい科学的現象が何かを説明する。
  3. 自分の研究によって問題を解決できる、又は新規性があり学術的に価値のある科学的現象を発現できることを伝える。
  4. 研究方法や内容を簡単に説明する。

その他の注意点は以下です。

  • 3つの研究テーマごとに見出し(太字)をつけて内容をまとめた。
  • 各テーマごとにを用いて説明した。
  • 異分野の人が見ても分かりやすい用語の使い方を心がけた。用語の意味がわかりにくい場合は、図で説明した。
  • 各テーマに対応する論文や学会発表を結びつけた。中でも高評価な研究は、理由とともに記載した。

 

これからの研究計画

(1)研究の背景

基本的には、「現在までの研究状況」の1〜3と同様の流れで書きました。

全く異なるテーマを書くのではなく、現在までの研究テーマに基づいて、発展させた内容を記載しました。

ここでは図は用いませんでした。

 

(2)研究目的・内容

未解決な問題を解決する方法や、報告例がない科学的現象を発現させる方法について、内容を具体的に記述しました。

その他の注意点は以下です。

  • 2つのテーマごとに見出し(太字)をつけてまとめた。
  • テーマごとに図を用いて説明した。
  • 「現在までの研究状況」と関連する部分は、内容をリンクさせた。

 

(3)研究の特色・独創的な点

これからの研究について、既存の研究と比較した際の、新規性や珍しさ、学術的価値について記述しました。

基礎研究だけでなく、どういった応用が可能になるか、についても説明しました。

 

(4)年次計画

1〜3年目のそれぞれについて、研究の到達目標と具体的な方法について記載しました。

目的物の作成と解析の両方を考慮したスケジュールを提案しました。

 

人権の保護及び法令等への遵守への対応

私の場合は特に必要なかったため、「該当しない。」とだけ記載しました。

 

研究業績

論文や学会発表で、書けるものは全て書きました。

著書や特許もある方は書けます。

私の場合は、
・参加学会:国際ポスター×1、国内ポスター×2、国内口頭×2
・論文:1st×3報
でした。

論文はあるに越したことはありませんが、無くても採用された例は多くありますので、書き方次第だと思います。

❇︎令和4年(2022年)採用からは、論文等の研究業績だけでなく、研究者としての資質・将来性をさらに重視するという審査方針が公表されています。

 

自己評価

(1)研究職を志望する動機

幼少期から今に至るまで、どういった経験と思考プロセスを経て研究職を志望するに至ったかを説明しました。

研究職を志望することになった決定的な出来事やモチベーションがあれば、書くといいと思います。

 

(2)目指す研究者像

観察力や忍耐力、人との議論などをキーワードに書きました。

 

(3)自己の長所等

自分の長所と、その理由について説明しました。

自分の長所を証明する具体的な出来事や経験、達成した内容を記載できるといいです。

 

(4)自己評価する上での重要事項

私の場合は、以下のことを盛り込みました。

  • 大学の勉強に対する姿勢や成績
  • 大学の部活の成果(具体的に)
  • 表彰歴
  • 奨学金の採用実績
  • 研究室の仕事やTA
  • 英語学習

 

 令和4年(2022年度)からの変更点

「研究の位置づけ」「研究遂行力の自己分析」が新たな記入項目となりました。

これまでの研究業績(論文等)だけでなく、研究者としての資質・将来性を重視した審査方法となります。

 

その他アドバイス

同じ研究室で学振研究員に採用された先輩の書き方を参考にしました。

採用者が多い研究室は書き方のノウハウが蓄積されており、とても参考になります。

自分で申請書を書いた後は、いろいろな人に読んでもらって意見をいただき、推敲する方がいいです。

私も先生や先輩など10名くらいから意見をいただきました。

三者目線で意見をもらうと、自分では気づけない改善点が多く見つかります。

 

まとめ

今回は学振申請書の内容や書き方について、解説しました。

書き方のテクニックはいろいろありますが、一番大切なことは、自分の研究を論理的に説明して、かつ研究への熱意を伝えることだと思います。

この記事が、あなたの学振採用に少しでもお役立ちできれば幸いです。

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