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学振の研究遂行経費について、元学振研究員が解説!

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日本学術振興会(学振)特別研究員は、「研究遂行経費」を年に1回報告します。

研究遂行経費は、税金や保険料を安くするために、役立つ制度です。

しかし、経費に慣れていない方にとっては、仕組みや計算法などは少し分かりづらいと思います。

そこでこの記事では、元学振研究員(DC1)の私が研究遂行経費について解説します。

5分くらいで読めて、研究遂行経費に対する理解が深まりますので、ぜひお読みください!

 

学振の研究遂行経費とは

給料の3割までを、経費として差し引いてその分を非課税にできる制度」です。

最大で、
20万円(学振の月給)×12カ月×0.3(3割)
= 72万円/年
を経費扱いにして非課税にできます。

ただし、72万円に満たない場合は、その残額に対して追徴課税(後述)がかかります。

 

研究遂行経費のメリット

経費として報告した分、所得が低くなるため、所得税・住民税・国民健康保険料(国保)が安くなります。(住民税・国保は前年の所得に基づいて計算されるため。)

 

研究遂行経費の内容と金額例

研究遂行経費にできるものは以下があります。

  1. 学会関係経費[学会の会費(ジャーナル代を含む。)、学会誌への投稿料(抜刷購入費を含む。)等]
  2. 各種研究集会等への参加費(学会シンポジウムなど各種研究集会の参加費、国内旅費及び外国旅費)
  3. 学術調査に係る経費(国内外の学術調査、研究打合せ経費)
  4. 自宅での研究に必要な経費(書籍・パソコン購入費、パソコン通信費、文具費等)
  5. 所属・関連機関への交通費(自宅からの通勤定期代、電車賃等)※授業料やガソリン代等の生活に係わるものは含めない

 

金額の例ですが、私の場合は、

  1. 学会関係経費:約1万円
  2. 各種研究集会等への参加費:10万〜40万円
  3. 学術調査に係る経費:20万〜30万円
  4. 自宅での研究に必要な経費:5万〜20万円
  5. 所属・関連機関への交通費:約10万円

合計:約80万円くらいでした。

最初見たときは、72万円/年って結構大きい額で、こんなに経費として使うかが心配でしたが、実際に計算してみると、私の場合は、意外と結構かかっていました。

計算はエクセルにまとめて、レシートはファイルで保管しました。

(領収書やレシートは提出する必要はありませんが、証拠のため保管する必要はあります。)

 

追徴課税について

追徴課税とは「税務署に申告した所得税もしくは法人税が、実際よりも少なかったことが発覚した場合などに加算される税金」のことです。

学振の場合、研究遂行経費が72万円に満たないと、その差額に対して追徴課税が課せられます。

例えば、研究遂行経費が60万円だった場合、

(72万ー60万) × 税率10%(仮) = 1万2千円

を追徴課税として払う必要があります。

追徴税額は日本学術振興会から通知され、指定の期日までに納付することになります。

 

まとめ

学振の研究遂行経費の仕組みやメリット、経費の内容、追徴課税などについて、解説させていただきました。

研究遂行経費は分かりにくい点もありますが、税金や保険料を安くできて、とてもお得な制度です。

研究遂行経費をしっかり報告して、少しでも金銭的に余裕を持って、研究に集中できるといいと思います。

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