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学振にかかる所得税の計算法や勤労学生控除について解説!

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学振研究員の収入(月20万円)には、所得税がかかります。

所得税の計算はけっこう複雑で、これまで所得税に関わる機会が少なかった学振研究員の方にとっては、少し分かりにくいかもしれません。

そこでこの記事では、元学振研究員(DC1)かつFP技能士の私が、学振にかかる所得税について解説します。

また、節税に役立つ「勤労学生控除」についてもご紹介します。

5分くらいで読めて、所得税に対する理解が深まりますので、ぜひお読みください!

 

所得税の基本

所得は以下の計算式で求められます。

所得 = {1年間 (1/1~12/31) の収入} - (必要経費)

この所得にかかる税金が所得税です。

 

所得及び所得税の計算

所得及び所得税の計算には段階があるので、一つずつ解説します。

 

(1)所得金額の計算

学振の収入(月20万円)は「給与所得」に該当します。

・学振1年目 (4/1~12/31) の場合

収入は20万円/月なので、
年収=20万円×9カ月=180万円

この内3割を経費扱いにすると、
180万円×70%=126万円

となり、この金額が180万円以下の場合は、
給与所得控除額=収入金額(126万円)×40%=50万円
となりますが、最低額65万円を下回るため、給与所得控除額は65万円となり、

給与所得=収入金額(126万円)ー給与所得控除額(65万円)=61万円
と計算されます。

・学振2年目以降 (1/1~12/31) の場合

収入は20万円/月なので、
年収=20万円×12カ月=240万円/年

この内3割を経費扱いにすると、
240万円×70%=168万円

で180万円以下の場合は、
給与所得控除額=収入金額(168万円)×40%=67万円
となりますので、

給与所得=収入金額(168万円)ー給与所得控除額(67万円)=101万円
となります。

給与所得以外に一時所得もあるかと思いますが、学会賞の賞金などは非課税です。

 

(2)課税標準の計算

各所得金額を合算して、課税標準を計算します。

給与所得のみの場合は、そのまま課税標準になります。

 

(3)課税所得金額の計算

課税標準から所得控除を引いて、課税所得金額を計算します。

所得控除は14種類ありますが、関係しそうなものは、

基礎控除:38万円

・勤労学生控除:27万円

社会保険料控除:国民健康保険国民年金の支出額
国民健康保険:約18万円 (前年の所得が無ければ0円)
国民年金:約20万円 (払っている場合)
(参考:国民健康保険国民年金の記事)

先ほど、給与所得を学振1年目と2年目以降で分けて計算しましたが、勤労学生控除を受けるには所得金額合計が75万円以下である必要があるためです。

つまり、学振1年目は給与所得が75万円以下で、勤労学生控除に該当しますが、学振2年目以降は給与所得が75万円を超えるため、非該当になります。

計算すると、課税所得金額は、

  • 学振1年目:0円
  • 学振2年目以降:約25万円

となります。

この時点で、学振1年目の所得税は0円と分かります。

 

(3)所得税額の計算

課税所得金額に税率をかけて所得税額を計算します。

課税所得金額が195万円以下の場合は、税率5%になるため所得税額(学振2年目以降)は、約12,000円/年 (約1,000円/月)となります。

 

(4)申告税額の計算

所得税額から税額控除を引いて、申告税額を計算します。

税額控除は住宅ローン控除や配当控除がありますが、なければ所得税額が申告税額になります。

すなわち、学振2年目以降では、約12,000円/年 (約1,000円/月)が最終的に計算される申告税額です。

 

まとめ

今回は、学振にかかる所得税の計算法や勤労学生控除について解説しました。

収入がある以上、所得税とは切っても切れない関係になりますので、どこかのタイミングでしっかり理解しておくと、毎日の生活に役立つと思います。

所得税とうまく付き合って、充実した研究生活を過ごせるといいと思います!

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